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聖ノア通信 - 当病院の日々の出来事、ペットにまつわる色々な話をつづります -

用水路の銀貨

マル子の家のすぐ傍に、小さな水路が流れている。普段はチョロチョロと奇麗な水が少し、いわゆる農業用水路です。

幅は1mちょっとぐらいでしょうか、深さは子供でも飛び降りれるくらいの水路です。

「マル子、その水路にねえ、お金が落ちてるのよ。多分お金だと思うんだけど。」

ある日、マル子はお母さんからそんな話を聞いた。

「へえ、お金が!?」

「そうなのよ。銀色に光ってる丸い物が見えるの、あれ、いくらのコインかしら?」

マル子はすぐに外に駆け出して、水路まで見に行った。

「本当だ! 流れの中に、ぴかぴか光ってる。」

歩道の手すりに身を乗り出してしばらくじっと眼を凝らして見つめていたが、果たして何円の硬貨なのかはわからない。

「本当ね、お母さん。硬貨が落ちてるね。」

「そうなのよ、数日前に気がついたんだけどね。いつも銀色に光っていて、流れの中でキラキラしてるのよ。」

「ふーん・・・」

・・・・・・・・・

それから何日かたって、私はマル子に聞いた。

「ねえ、水路の銀貨、あれ、どうなった?拾ってみた?」

「いえ、それがですね、この前見に行ったらもう無くなってました。」

「えっ、無くなってたの?」

「はい、あの後降った雨で流されたんでしょうかね・・・」

「それとも、誰かが降りて拾ったか?」

「フフフ・・・そうかもしれませんねえ。」

「そうか、正体はわからずじまいか・・・。」

たかが水路に沈んだコインの話ではありますが、

しかし人生には、消えてしまった後でちょっぴり気にかかる・・・もう少し大事な出来事も時々ありますね。

胸をドキドキさせながら遠くから離れて見ているだけで、時が流れていく。
そして、永遠に戻らない。

あの時、ちょっと手を伸ばしてたらとか、
ほんのちょっぴり勇気を出して、あの人に声をかけていたらとか、

・・・思う事が。
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離婚の時よりも

「あのね、知り合いの犬がね、乳癌で死んでしまったのよ。
 それで、彼女にお悔やみのメールを送ったんだけど、粗品と愛犬の写真と、メッセージカードまで届いたのよ。

私はただメールしかしてないんですけどね。
それで電話をかけたら、彼女は今、離婚の時より落ち込んでるそうなんですよ。」

あるマダムがそんな話をされていました。

男が聞くと、ちょっと複雑な気持ちがする話ですね。

でも、最近のペット飼育における飼主と動物の絆は、もうそれぐらいは驚かなくなったかもしれません。

ペットの誕生会、ペットがいるからもう何年も旅行に行ってないという話、ペットのお葬式、そしてペットロスなどはよく聞く話しです。

それにしても、ペットとの別れのほうが、離婚より落ち込むというなら、その方の離婚の時の事情も多いに関係しているとは思いますが・・・。

ところで、離婚の後の気持ち心境などは、男と女で違うそうですね。

なにしろ女性は離婚すると若やいで、もう一度花屋の店先に並ぶ色取り取りのお花の様な気分になれるそうですから。

それに対して男性は離婚すると、古道具屋か骨董品店に並んだ恐らく買い手のつかない、ほこりをかぶった道具のような心境になるようです。

しかし、ペットにも敗れた男性の皆さん、

「古いものにも、時代遅れなりの味がある」とうそぶいて、孤高に生きていきましょうよ!

 ・・・・よ!!
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カナダから帰国

あら、おかえりなさい!」

「どうもお世話になりました。お久し振りです!」

昨年の初春にカナダに行かれたマダムHが、久方ぶりにおいでになりました。出国の時は、連れて行く愛犬の狂犬病の手続きや何やらで、大変でした。

「マダム、予定通りの、帰国ですか?」

「いえ、娘が学校に行くとかで、ちょっと早めになったんです。私は本当はもっとずっと居たかったんですけど・・・。」

「ふーん、暮らし易かったですか?向こうは寒くなかったですか?」

「はい、確かに外は寒いんですが、でも家の中は暖かくて、半袖で過ごせます。日本より暖かい冬が暮らせますよ。

なにしろ、自然が雄大で素晴らしいところで、残りたかったんですが、一人残っても言葉が話せないし・・。」

「英語はどうでしたか?」

「相手が何を言ってるのかは、なんとなくわかるようにはなったんですが、『フフフ・・・』と笑うしかできないものですから。

とにかく三月から私も働かないといけないので、こちらでの生活が始まります。またしがらみに曳かれそうです。」

マダム達はバンクーバー近くに滞在されたようです。
それにしてもすっかりカナダが気に入って、本当にもう少し残って暮らしたいような、お顔でした。

マダムのお話を聞きながら、外国に出て異国で何かを経験するのは、大変幸せな事と思いました。

本当は人はみんな、たまにそういう機会が与えられたら、・・・そしたらすごく幸運ですね。

私もカナダに行ってみたくなりました。
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生きるという事

獣医は沢山の飼い主さんと接する職業です。それで、飼い主さんとの話を通して、いろいろな意味で教えていただく事も多くあります。

以前もこんな事がありました。

可愛い老犬コロ(仮名)を世話されていたムッシュご夫妻がいました。
ところがある頃からコロちゃんの食欲が低下してきたのです。検査の結果、肝臓付近に何か出来ている事がわかりました。

相談の末お腹を切りましたが、開けて見ると癌と思われる大きな組織が予想以上に広がり、手が出せませんでした。
私は残念な報告を伝えたのですが、ムッシュは退院の時

「いいね、大丈夫ね、コロさあ、帰ろうね。」

と、明るく犬に呼びかけました。
ところでこのムッシュは口の悪い方で、私が研修会に行くと行って病院を閉める時は

「あっ、ほら、コロちゃん、また先生はどこかに遊びに行くってよ、研修って名目だけど、本当は遊びに行くんだよ、お土産頼みなさい。」

とか、あるいは点滴治療でコロちゃんが頑張ると。

「ほら、コロちゃん、何か美味しいもの、もらいなさい。先生から何か、あら、無いのかなあ?」

等と言って、スタッフ達を笑わせてくれました。
何しろ明るい方でした。ムッシュが来られるだけで、病院が明るく賑やかになるのです。

けれどある時、奥さんがこう言われました。

「うちの主人はいつもあんなにふざけた事ばかり言ってますけど、実は主人もお腹に癌があって、病院の先生から『あと余命は半年』と言われたんです。それからもう2年たつんですけど。今日もこれから主人の定期健診日なんです。」

と、教えてくださいました。

「えっ!・・・そうなのですか!」

私はびっくりしました。

(本当に人とは、見かけだけでは、その内側に何を秘めているのか、そして何と闘いながら生きているのか、あるいはどのような考えや努力をしながら生きているのか分からないものだなあ・・・)

と、あらためて考えさせられたのです。

人の内側は見抜けませんが、時々ちらりと触れた時、そんな人の深さや高さに、ハッとさせられるのです。
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マル子眼科に行く

「先生、マル子さんは昨日眼科に行ったそうですよ。」

お茶の時間、猫娘がそう報告する。。

「そうなんですよ、実は眼に何か出来て、マイボーム腺に脂肪がたまっていると言われたんです。」

マル子がその件について、是非話させてくれという顔つきで、熱心に話し始める。

「へえ、マイボーム腺ね。」

「はい、それがですね、検眼する器械があるでしょう、検査の時、顎を乗せて顔を固定する器械が。

『ここに顔を乗せて』と言われたから、顎を乗せたんですよ。そしたら、いつの間に立っていたのか、いきなり後ろから看護士さんの手が後頭部をガッと押さえて、私の顔を器械に密着させたんです。

(えー、子供じゃないのに。なんでこんなに頭を押さえられないといけないの!)

って、内心思ったんですけど、黙って顎を乗せて検査を受けてたんです。それが結構強く押し付けるんです。

そしたら先生がまぶたをくりっとひっくり返して、それから『写真を撮ります』と言われたんです。

(イテテッ・・・、そうか、きっとこんな時に、みんな頭を動かしてしまうから、後ろから押さえているのかな?)

って思ったんです。

その後、症例写真を見せられて、『ほら、こんなになってるから本と同じ病気でしょ。』と、言われたんです。

(トホホ、別に写真を撮らなくても、私は自分で分かってるから、本だけ見せてくれればいいのに・・・)

と、思ったんですが、それからしばらくして

『あなたの写真を違うファイルに入れてしまったから、もう一度撮らせてくれる!?』

と言われて、また撮り直しになったんです。」

「えー、そんなこと言われたの?ハハハ・・・普通、ファイルって取り出せるんじゃないの?それとも、取り出し方を知らなかったのかなあ?」

「うーん、私もそう思うんですけどねえ・・・。」

マル子は微笑みながら、小首をかしげた。

ということで、マル子の最近の眼科ワクワク体験談?でした。
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麻疹の記憶

「最近入れた子犬が、ここ数日どんどん食べなくなっているんです。皮膚もひどいし、一度診てください。」

ある日そんな電話がかかりました。

さっそく昼休みに往診に伺います。そこには広い敷地に木造の犬舎が作られ、犬が数頭飼われています。
そして真ん中の部屋にドーベルの子犬はいました。

私たちが行くと、元気なくのそりのそりと出てきたその子犬は、顔も足も皮膚がひどくただれていました。

「わあ、ひどいですねえ。この子はまだ幼いでしょ。きっとここはこの子犬には寒すぎるのかも知れませんよ。
いずれにしろ、病院に連れ帰って、検査をさせてください。」

そう言って子犬を預かり、病院に着くとすぐに隔離室に入れ、感染症を警戒しながら暖房を効かせて様子を見る。
皮膚の掻爬検査では、アカラスダニが見つかりました。全身ひどい皮膚炎の原因の一つのようです。

子犬は部屋に着いたらすぐにこんこんと眠り始めます。人がバタバタと出入りしても、全然起きない。とうとうその日の昼から鼾をかきはじめて次の日の朝までずっと眠り続ける。どうやらそうとう疲労困憊していた様子でした。

翌日から皮膚の治療を続けながら、体力回復にも努めました。

「皮膚のぶつぶつがひどいですね。私、自分が麻疹(はしか)にかかった時のことを思い出しました。」

4,5日たった頃猫娘が、診察台に上げた子犬を見ながら言いました。

「へえ、麻疹はこんなにぼこぼこになっちゃったの?」

「はい、もう、ゾンビみたいになったんです。私、鏡を見ながら、(この顔、治るんやろうか?)て、心配しました。

実は、最初は弟がかかったんです。熱が出て、その日は家族でドライブの日だったんです。きつそうだったんで、『あんた、どうする?行く?』って聞いたら、『一緒に行く』って言うので、連れて行ったんです。」

「えっ? 普通、熱があったらドライブとか行かないでしょ?」

「いえ、うちは希望性だったので、本人が希望すれば出かけられるんです。」

「えー、無茶苦茶だなあ・・・」

「それなのに車の中で弟がきつそうにしていたので、『あんた、しっかりし、そんなのは気持ちの問題やろ!』って、言ったんです。」

「・・・鬼のような家族だね。」

「ところがそれが麻疹だったみたいで、翌日に私も妹も熱が出て、ブツブツ顔に現われたんです。

もう、それがどんどんひどくなって、『本当にこれがきれいに治るんやろうか?』ってすごく心配でした。中学2年の頃・・・です。」

(ふーん、麻疹ってそんなにぶつぶつになるのか・・・
 
 おい、おい、子犬君、心配するな。君はもっときれいに治るからな・・・)
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正月の小鳥の世話

「私正月当番の時ね、小鳥の餌を換えてたら開けた時にパッと飛び出してきて肘に止まったの。
それですぐ捕まえたんだけど、指を咬まれて血が出ちゃった。
今年の初出血よ、フフフ・・・」

お茶の時間、マル子が自分の人差し指をさすりながらそんなことを言った。
ちなみに小鳥というのは、病院で飼育しているコザクラインコのことです。

コザクラインコは体は小さくても、嘴の力はすごい。
まず咬まれたら、人の指ならは深く切れてしまうだろう。

それにしても、『今年の初出血よ、フフフ』と言う以上は、すでに今後も、二度目三度目の出血を覚悟しているらしい。

さすがマル子です。

「わぁ! やっぱりマル子さんだからとっさに捕まえられるんですね。きっと私だったら、瞬間あせってばかりで、すぐ手が出ないかもしれません。」

猫娘が感心するように言う。

「いや、逃がさない方がいいんだよ。危ないからね。」

「はい、でも、部屋の戸はもちろん閉めてましたから。」

自信たっぷりのマル子の目を見ていると、彼女はどうやらコザクラにわざと逃げるスキを与えて少し遊んでやったようにも思われた。


「あっ、小鳥と言えば、休み中にお預かりしていたインコ、あの子は喋ってましたよ。

ヘヘヘ、『むかしむかし・・・』って。」

カメ子によれば、正月当番の日にブルーのセキセイインコが、そんなふうに喋るのを聞いたと言う。

「へえ、おもしろいねえ、どこまで喋れるのかな?」

「それが、ラジオの周波数を合わせるときのように、音声が途切れ途切れに聞こえる感じで、よくわからなかったんです。

ただ、『むかしむかし・・・』のところだけは、はっきりわかりましたけど。

それでお迎えの時、私が飼い主さんにお尋ねしたら、

『むかしむかし、あるところに、おじいさんとおばあさんがいました。おじいさんは山に芝刈りに、おばあさんは川へ洗濯に・・・』

とか、喋れるそうなんですが・・・。」

「ふーん、たいしたもんだねえ。」

インコが昔話を喋れるのは、感心するが、もしかしたら最近の子供にはよく通じないかもしれない。

なにしろ、
「おじいさんは山へ芝刈りに」と言うと、
「山にゴルフ場があったの?」

と、聞かれたり、

「川へ洗濯に」と言うと
「川が汚れるからそれは駄目!」

と言われるらしいから・・・。

さて、そんなこと言われたら、インコちゃんどうする?
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あけましておめでとうございます。

新年おめでとうございます。
皆様、元気にお正月を過ごされたでしょうか?

ワンちゃんネコちゃん、そしてウサギさんや小鳥やフェレットや亀さんほかペットの動物たち、今年一年素晴らしい日々でありますようお祈りします。

年末から三が日にかけて私もあちこち出かけ、当院は当然閉まっておりましたが、それでも在宅中に何度か電話が鳴りました。

寒い時期ですから内科疾患が多いかな?と予想したのですが、実際には整形外科関係の疾患が目立ちました。

小型犬が座っている飼い主さんの膝の上から飛び降りただけでびっこになった、あるいはダックスフンドで急に後ろ足が萎えた、そんな訴えが多くあり、レントゲンも何匹か撮りました。

どの子も順調に回復してくれたらいいのですが・・・。

さて力不足かもしれませんが、この一年も私たちに出来る精一杯のことをしようと思っております。

どうぞ今年も宜しくお願いいたします。
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