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聖ノア通信 - 当病院の日々の出来事、ペットにまつわる色々な話をつづります -

一年間の感謝をこめて

大晦日を迎えました。皆様は落ち着いて年の暮れをすごしておられるでしょうか?

こんにちわ! おいらは病院猫の畏咲(いさく)です。
ちょうど一年前になります。大先輩の病院猫・鉄兵さんが18歳で亡くなったのが十二月の16日でした。

その後です。春になって、たまたまおいらが捨てられていたものですから、後を引き継ぐ形で病院に居座る事ができました。

やっぱりおいらの可愛さが、院長の目を惹いたんでしょうか?
ウフフ・・
今ではすっかり立派な青年猫です。

そして最初の年の暮れを迎えました。おいらには生まれて初めての大晦日です。

スタッフ達は、トリミングの犬と腎不全の猫の点滴、転落して意識不明になったパピヨンの緊急治療、その他具合の悪い犬や猫が来院してくるのでさっきまでバタバタしていましたが、今ようやく落ち着いてきたところです。

今年もあと6時間です。
皆様には一年間大変お世話になりました。

鉄兵先輩に続き、おいらも病院猫として認められ、可愛がってもらえるよう来年は頑張りたいと思いますので宜しくお願いします。

皆様、次回来院される時は、
「これ、畏咲ちゃんにあげてください!」

と言って、イリコを少し持ってきてくださいね。
そうしたら、おいらの可愛い「ミャー・・・」を聞かせてあげますから。
いえ、お返しするったって、それぐらいしか出来ないんですもの。

じゃあね、良いお年を!!


「いつまでも残るものは、神への信頼、希望、愛。

 その中で、最も大切なのは愛です。」

                   パウロの手紙より
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大晦日前日の思い出

「あ、あなた! 大変! 大変!!」

それは二年前、暮れも押しつまった十二月三十日のことでした。
働き者スタッフが集まった当院では、もちろんまだまだ仕事に励んでおりました。

そんな朝に妻がただならぬ声で診察室の私を呼びに駆け込んで来ました。
私はドキッとして、「しまった、あの事がばれたかな?」と思って・・・、

いやいや、そんなことはありません。

私はドキッとしながらも、「何事だ?一体、どうしたの?」と、なるべく落ち着いて答えました。

「大変なのよ! 水が、水が漏れて止まらないの。溢れてるのよ。」

「えっ!? どこから?」

「裏よ、犬舎の汚物流しのところよ。」

「えっ? どこだよ・・・」

私は嫌な予感を感じながら、妻の案内について行く。

「ほら、ここよ!」

むむむ・・・、たしかに。立ち上がったパイプの、コンクリとの接点付近から、湧き水のように水が溢れている。

「大変だ! これは早く止めないと、それこそ湯水のように水道代が流れて行ってるんだ。」

小心な私はあせる。すぐにひらめいた一軒知り合いの設備屋さんに電話をするが、あいにく仕事で出払ってて、帰りは遅くなるという。

(ああ、やっぱり駄目か。何しろ、暮れの三十日だもんなあ)

あわてて名刺ボックスをめくり、「これだ!電話よつながってくれ」と祈りつつ、何年か前工事に来てもらったことのあるもう一軒の設備屋さんに電話をした。

「もしもし、あの、年末のこんな時にすみませんが、水漏れで、みてもらえませんか?」

多分、犬の具合が悪くて、時間外に電話する飼い主さんの気持ちは、ちょっとだけこれに近いかもしれない。

「はい、わかりました。いいえ、覚えてますよ、はい、行きます。」

若いお兄さんがすぐに駆けつけてくれた。
振動ドリルを出して電源を繋ぐと、木枯しの寒い中、すぐに水漏れ付近のコンクリをはつり始めた。

「ダダダダダッ・・・・、 ダダダダダダダッ」

やがて地中の水道管付近が見えてくる。

「ははあ・・・、これはどこが工事をしたんでしょう?
ご主人、ほら、太さが違う二本のパイプをチューブを使って無理やり繋いでいるでしょう。だから、そこから漏れているんですよ。」

「え? そうなんですか? ・・・」

「ちょっと部品を用意しますね。いえ、すぐ戻ってきますから・・・」

若いお兄さんはそう言い残すと車に飛び乗り、どこかへ言った。
(大丈夫かなあ?・・・)

ちょっと心配だったが、彼はすぐ戻ってきて、てきぱきとパイプを繋ぎ換えてくれた。

「少しの間水を止めますよ、いいですか?」

本当に手際よく、彼は仕事を片付けてくれた。
おまけにセメントを練り始め、はつったコンクリの部分を塗りなおしてくれたのだった。

「明日まで水を流さないようにしてください。これで大丈夫でしょう。」

彼の笑顔に我々も安心。とりあえず2時間で直してくれました。
年末の出動でさぞ高いかと心配した修理代も、29,400円ですみ、D設備屋に感謝!

こうして年の瀬になり、ふと思い出してしまった2年前の出来事、あの青年の笑顔でした。
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橋の上で

それは十二月に入り間もない頃でした。冷たい風が室見川を吹き抜けています。
室見川は早良区と西区を境し川幅は70mほど、春には白魚がちょっとだけとれることで知られています。

その日、マダムBは「軽いランチでも行きましょうか!」と、友達とおしゃべりしながら堤防沿いを歩いていました。

「あれ・・・、ねえあれ見て! ほら、橋の上!」

突然友人が橋の上を指差しながらそう言いました。

「え? 何? どうしたの?・・・」

「ほら、あれよ!」

「・・・あら、カラスね。」

「ええ、そうだけど、あのカラスなんだか様子が変よ。」

向こうの室見橋のほうで、二羽のカラスがたむろしていました。

黒い大きな翼を広げて欄干にひょいと飛び乗ったり、そしてふわりと浮かんではストンとおりたり、動きが妙です。

「何してるんでしょう?」

「何してるのかしらね?」

「あれ・・・、何か狙ってるのよ! ほら、あそこに小さいの、何かいるよ。」

マダムは早足で室見橋の方へ行きました。なるほど、確かに何かがしゃがんでいるようです。身を低くして抵抗していますが、二羽のカラスが入れ替わり立ち代わり攻撃しているのでした。

「あなた、子猫よ、子猫が襲われてるみたい。」

膝が悪くてあまり歩けないマダムの足が、しかしその時はできるだけ速くなりました。

カラスは空からふわりと舞い降りると、子猫の背中を狙って爪を立て、持ち上げようとします。身構える子猫も必死で抵抗しています。さらわれたらおしまいです。カラスは高い所まで持ち上げて落とし、致命傷を与えてからいただこうとしているのです。

子猫が右を向いて応戦したら、左の空から、左に応戦したら後ろからと、空軍の波状攻撃で、子猫は危うしです。

ミャー、ミャーと助けを呼び求めますが、母猫の姿などどこにも見えません。

マダムは敢然とその場に割り込み、気味の悪いカラスに立ち向かいます。

「こら、カラス、あっちへ行きなさい。シッ、だめ、こら!だめよ!」

「ガアー、ガアー!!」

カラスたちはとんだ邪魔が入ったという顔で、いかにも不満そうに離れると、近くの電柱に留まってまだ様子を窺っています。

「ねえ、大丈夫?子猫でしょ?」

「うん、どうだろう、あちこち怪我しているみたい、わっ、前足から血が出てるわ。病院に連れて行って診せないと・・・。」

それは白と黒のブチ猫でした。幼くはないのですが、まだ体重は1kgとちょっとぐらいです。

「車道に逃げなくて良かったわね。もしあっちに行ったら轢かれてるもんね。」

「痛いの? これ、心配しなくていいのよ、暴れないで、大丈夫だから・・・」

こうしてマダムは傷ついた子猫を抱きかかえると、病院まで連れて来たのでした。

「まあ、わたしもびっくりしたわ、でもねその時一緒だった友達がね、『きっと神様が、猫好きのあなたが橋を通りかかるようにされたのよ』って、言うのよ、オホホホ・・・」

レントゲンを撮りましたが、幸い骨折はみられませんでした。
その子猫は四日ほど入院して、元気になってマダムの家に引き取られました。

「可愛い顔してるでしょ、ほら、何て可愛い顔してるのかしら!」

マダムは見送る私たちにそう言いながら、いかにも嬉しそうに子猫を連れて帰られました。
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コッカーの里親捜し

「先生、昨日ですね、私の夢に先生が出てきて、『コッカースパニエルの名前はムーちゃんにしよう』って、言ったんですよ。
 でも私は『ケンジがいいかな』って、言ったんです。」

ある日カメ子がそう言う。

コッカースパニエルというのは、当院で里親探しをしているワンちゃんのことです。
バフ(薄茶色)の可愛い子ですが、事情があり飼主が飼育できなくなって、安楽死に連れて来られました。

でもまだ三歳、純血種ですし、もし見つかるものならばということでしばらく預かり、里親募集をしていました。

しかし世の中、そう甘くはいきません。
ポスターを掲示し、来られる方に声をかけても、なかなか良い情報は入りませんでした。

「そうか、君の夢の中に私を登場させてもらったのか。それは名誉なことだ。ありがとうよ。
 でも、君はなぜケンジがいいんだ?」

「はあ、それが、わからないんです。」

なにしろ夢の中の話だから、深層心理で何かに結びつくのかどうか知らないが、それ以上カメ子の夢に立ち入るわけにもいかない。

「ふん、じゃあ、夢に従ってムーちゃんに変えようか?」

「いえ、今のまま、クーちゃんでいいです。」

そんな話をしながら毎日が流れていきましたが、何も知らないクーちゃんは、毎日ケージの中で糞を踏みたくります。

もしかしたら、十分な排便のしつけもされてなかったのかもしれません。

「あっ! またやったな! そんなことじゃ、だれももらってくれないぞ。」

掃除掃除の繰り返し、そして体の洗浄で大変でした。

こうして日にちばかりが過ぎ、クリスマスも近くなり、もういよいよ行き場がないかな?と思われた矢先でした。

ある日、連絡が入りました。
元スタッフの猫娘の知り合いにようやく里親先を見つけてもらえたのです。

「よかったな、お前、飼ってもらえるぞ!」

何も知らないクーちゃんは、ただ嬉しそうに短い尾を振るばかりです。

それにしても猫娘の、今年一番のお手柄でした!!
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夫婦助け合い

「五郎の薬をください。」

ムッシュHが犬の五郎ちゃんの薬をとりにお出でになった。

五郎はもう中型犬の15歳で、老衰のため認知症の症状にかかっている。ご夫妻でここ一年ほど寝たきりの五郎ちゃんの体位交換したり、フードを口に入れてあげたり、オムツを換えたり・・・。

犬を残してゆっくり外出も出来なくなっている。

しかし今のところ一番の問題は、夜鳴きです。昼間こんこんと寝て、夜中中起きて鳴く事が多くなった。御夫妻は世話で多少疲れ気味だが、それよりも近所に迷惑をかけることを、気にされています。

それで五郎ちゃんが夜寝るようにと、薬を使っています。

「女房が本当によく世話をしてますよ、まったくはたで見ていて私も感心します。俺が寝込んだってこんなにはきっとしてもらえんだろうとおもうぐらい、ようするんですよ、ハハハハハ・・・・」

「ムッシュ、心配いりませんよ、ムッシュが寝込んだら、『あなた、あなた』って言って、甲斐甲斐しく世話をしてくれますよ。」

「いやいや、もうそんなことはない、アハハハハ・・・」

そんな話をしてムッシュが帰られたあと、待合室で話を聞いていたマダムIがこんなことを言われました。

「先生、でもみなさん、配偶者の世話をよくされてますよ。わたしはある病院の売店に勤務しているんですよ。それでご高齢の入院されている方々を毎日お見かけしているんですが、見ていると奥さんも、旦那さんも、どちらもよくされてますよ。

つい先日も、年配の奥さんがトイレに入って具合が悪くなったんですけど、そしたらご主人が付き添ってすごく良くされていましたからね。」

「ふーん、そうですか。それは嬉しい話ですね・・・」

老後については何かと悲観的な話しが多い昨今ですが、現場から伝え聞く良い話は嬉しいですね。
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アドヴェントの夜の急患

クリスマスも近づいている、寒い夜のことでした。

九時半ごろ病院をかたずけ、遅い夕食が終わりホッとしてテレビを見始めた十時ごろ、電話が鳴りました。

(今頃誰だろう、昼間具合の悪かった、犬のゴン太ちゃんのところかなあ?・・・)

受話器をとると、初めての人でした。若い女の子の声です。

「ハムスターが動かなくなったんです。時間外ですが、見てもらえますか?」

礼儀正しい話し方でした。

「場所はわかりますか?」

「はい、あの、バスで行きますから・・・、地図を参考に行きます。」

途中二度ほど、道順を聞く電話が入ったが、およそ40分ほどたって、電話の主は到着した。黒と白の毛糸で編んだ帽子を目深にかぶり、厚いコートを着込み、胸にハムスターの入った小さなバッグを抱えて、彼女はやって来た。

雨の中を歩いてきたのだろう。濡れているビニール傘をたたむと、静かに傘立てに入れる。

私は診察室で女の子の差し出したバッグを覗いた。中にはホッカイロが入っていて、ハムスターが寒くないようにしている。包んでいるハンカチを開くと、グレイの毛皮をしたジャンガリアンが横たわっていた。

私はいきなり触らず、ちょっとの間、観察する。

・・・呼吸していない! 胸が動いてない。ぴくりともしない。すでに冷たくなっている・・・いや、体は加温のせいでだろう、とても温かい。

そっとバッグから取り出して、目の前に抱えてもう一度見つめる。
ほんの一息でもいい、動いてくれるなら・・・。

じっと凝視するが、やはり呼吸はない。
聴診器を当てて耳を澄ませても、心音は聞こえない。

念のためエコーのスイッチを入れた。冬眠で、徐脈、心音微弱があるといけない。

じっとプローブを当てて胸部を調べるが、モニターの黒い画面に動きは見られない。やはり生きている望みを見い出せなかった。

「お気の毒ですが、すでに亡くなって時間がたっているようですね。」

私はハムスターの目を調べ、少し乾燥しかけているのを見ながら、そう言うしかなかった。

さぞがっかりするだろうと、心が重い。

せっかく寒い冬の夜、つれて来てもらったのに、
それも持ち合わせがなかったのか、タクシーでなくバスで来てくれたのに、
しかし、当院でしてあげられることは、なかった。

ただ、異変を発見してからずっと動かないハムスターを心配している彼女に、間違いなく亡くなっている事を確認する役割だけ、果たさせてもらったことになる。

「他にハムスターはいるのですか?冬の寒さに気をつけてあげてください。窓際は冷えますから、なるべく避けてください。」

「私はハムスターの容器に土を入れているんですが、土は冷えますか?」

「牧草のような物を、たっぷり厚く轢くか、暖房が要るでしょうね。」

女の子は、すでに諦めていたのだろうか?私の話を聞いても特に涙を流すのでもなく、言葉静かに夜道を帰っていった。

きっと、またバス停まで、歩いて戻るのだろう・・・。
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空中浮遊猫

「寒くなって、最近あちこちで猫にさかりがついとるね。うちも昨日、夜中中鳴いてる猫がおって、もうあんまり眠れんかったー。」

午後のお茶の時間でした。
マル子の言葉を聞いて、カメ子も話し始める。

「そうそう、すごく鳴いてるよね。

私のビルでもそうよ。
この前、帰宅して玄関に入ろうとしたら、凄く鳴いていて、ケンカしてるみたいでしたよ。

私、立ち止まって声がする暗闇の方を目を凝らして見ていたんですけど、そこに灰色の猫が居たんです。

じっと見ていたらその猫がフワッと浮いたと思ったら、空中に浮かんでいるんです。

「わっ! 浮かんでる!」

私、驚いたんですけど、よく見ると下に真っ黒の猫がいて、交尾中でした。」
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お祖父ちゃんの話

「先生、うちのお祖父ちゃんですね、ちょっと変わってるんですよ。」

病院に来たあるマドモアゼルが、にっこり笑いながら話してくれました。

「お祖父ちゃんは何人兄弟だったのかなぁ?お母さんのほうのお祖父ちゃんなんですけどね。
この話しには戦争が絡んでるんですよ。

その頃戦争があって、上のお兄さんは結婚していたのですが、戦争に行って戦死したので、お祖父ちゃんは次男だから長男の嫁と結婚するように父親から言われたそうです。

『兄嫁といっしょになれ。』

『いやだ、そんな気はない。』

『それじゃあ、もうお前は家に残るな。親子の縁を切るぞ。』

『ああいいさ、こんなところ、出て行ってやる!』

お祖父ちゃんにはその時好きな人がいたみたいです。

でもお祖父ちゃんもその後出征し、中国方面へ行ったそうです。

やがて戦争が終わりましたが、お祖父ちゃんが帰って来ないので好きだったその女性は他家へ嫁ぎ、そのあとでお祖父ちゃんは引き上げてきたんです。右足に被弾して足をひきずって。

その後お祖父ちゃんは見合い結婚をしたんですが、相手の女性はやはり戦争から許婚(いいなずけ)が帰って来なかった人でした。

そんな訳で、お祖父ちゃんは本家の土地をもらえずに、自分でお金を払って買い取ったそうです。

周りの親戚の話だと、そんなお祖父ちゃんは若い頃モテモテだったらしく、私が写真を見たら本当にジャニーズみたいな顔をしてるんです。

戦後は農協の職員として働いていたそうです。
獣医さんにも、よくついて走り回っていたそうです。

施設に入ることになって、最初はおばあちゃん達に飴玉をあげたりして、『さすがお祖父ちゃん』って、母が呆れてましたが、そのお祖父ちゃんも今年は96歳になり、子供の顔も孫の顔もわからなくなりました。

それでも、

『こんな施設に入るんやったら、満州にずっとおれば良かった!』と言うんです。

私、『満州でどんないいことがあったんやろ?』って不思議に思うんですが・・・。

・・・ここで、マドモアゼルの話は終わりです。


一人の歴史、人の人生って、本当に切なく、悲しく、いじらしく、そして感慨深いものですね。
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自転車事故

「うーん、腕に力が入らないなあ・・・先生、昨日、私、またこけちゃったんですよ。」

十二月に入ったばかりのある朝でした。冬の陽差しが病院の待合室にそそがれています。

診察台でプードルのジャックちゃんを保定していたマル子が、腕をさすりながらそう話し始めます。

「自転車で帰ってた時です。」

「おや、またやったのか?」

「ヘヘヘ・・・はい、仕事を終えて、水路沿いの道をこいでいたんです。ライトは点けてたんですが、男の人にぶつかりそうになってよけたら、そのままフラフラとバランスをくずし、そしたら目の前にコンクリートの車止めがあったんです。

(ガッチャーン!!)

ぶつかった時はすごく痛くて、もう立てないかもと思ったんですが、(こんな所で誰も助けてくれないだろうな)と、思ってとにかく起き上がりました。」

「へえ、すぐ誰か助けてくれなかったの? そのぶつかりそうになった人は?」

「その人は多分気づかないまま、スッと行ったんだと思います。他に一人、チラと見て通り過ぎた人もいたかなあ。でも、誰も助けてくれませんでした。」

「マル子、ほら、あまりにも奇麗な女性には、男は近づきがたくなるから、きっとみんな、つい遠慮したんじゃない。
際立った美人には、男は近づけないんだよ。」

「フフフ・・・、やっぱりそうですかね。

 それでですね、自転車がなんとなくおかしいぞと思ったら、ハンドルが半回転していて、『えいっ!』てやるとそれは直ったんですが、乗ろうとしたらチェーンもはずれていたんです。

チェッ、こんな暗いところでは直せないと思い、賀茂の橋の明るい所まで持って行って直しました。

厚着してたし、手袋もしてたから切り傷はなかったんですが、ストッキングも破れ、ほら、打ち身もできましたよ。
もう散々でした、トホホ・・・」

「帰ってから、うちの人に言った?心配したろ?」

「はい、母が『あんた、またこけたと? ようこけるね。四度目は車に轢かれてしまうよ!』って、言われました。」

「うん、猫娘が退職してこの忙しい師走に、君まで怪我で入院でもしたら、きっとカメ子が怒り狂うぞ!」

「フフフ・・・、そうですね。怒られますね。」

皆さん、自転車も軽車両です。
安全な運行を、心がけましょうね。
そして美人でも遠慮せず、助けてあげてください。
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