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聖ノア通信 - 当病院の日々の出来事、ペットにまつわる色々な話をつづります -

自分を情けないと思う時

一日の仕事を終え、カメ子が着替えをして帰る準備をしています。夜も十時をとっくにまわりました。

ホッとしながら荷物を整理し、抱えたバッグをしげしげ見ながら、カメ子が言います。

「へへ・・、これ安いんですけど、斜め掛けで一番使いやすいんです。この前天神へ行った時ですね、もっといいバッグないかな?って探して、(あっ、これいいや!)と思ってよく見たら、これと同じだったりしました。ハハハ・・・」

「うん、それって、時々あるよね。服なんか、同じようなもの買うし。」

「先生、聞いて下さい。私、めっちゃ悔しかったのは、テレビガイドを買った時です。

(あっ、新しいのがある!)と思って買って帰ったら、なんと同じテレビガイドが部屋のテーブルの上にあったんです。

二百円くらいの本ですが、いえ、問題は金額じゃないんです。

自分が情けないというか、ドジというか、何で買ったことを覚えてなかったのか、それが悔しいんです。

あれは、自分で自分が情けなかったですね。」

カメ子はそう言いながら、帰って行った。

カメ子の後姿を見送りながら、私は励ました。

(大丈夫だよ、カメ子、それぐらいなら。

 ぺ子は、地下鉄駅まで自転車で行ったことを忘れて帰って来て、玄関に自転車が無いのに気がついて、留守中に盗られた、盗られたって、騒いでいたから。)
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私は見てたんだ!

「あんたんとこの猫だろ! うちの庭に来て、いつも糞をしていくのは!」

隣りのおじさんが、マドモアゼルTの家に文句を言いに来られました。

「いいえ、うちの猫じゃ、ないと思います。」

「そんなことがあるか、私が自分の目でちゃんと見たんだ。あんたんとこそっくりのトラ猫が、塀をくぐって入って来て、しゃがんとった。」

「いえ、でも、うちの猫は外で糞をしませんから。」

「そんなこと言っても、私が見とったんだから。」

「でも、うちの猫は、糞をしないんです。」

「そげんバカなことはなか。生きてめしを食っとる生き物は、すべてウンチをする。せんはずがない。」

憤慨しているおじさんは、一歩も譲りません。マドモアゼルは控えめにしかし、きっぱりと答えました。

「ですけど、うちの猫は重度の便秘症で、月に二、三回くらい、病院でウンチの掻き出し処置を受けて生きてるんです。自力で排便できないんです。

もう三年以上、通院してますから・・・・」

「はあ?・・・・・ウンチが出んて・・・そんな・・・ブツブツ・・・」

隣りのおじさんは、矛先を収めてまだ不満そうにブツブツ言いながら帰られたそうです。

トラちゃん良かったね。
慢性便秘の持病のおかげで、とんだ濡れ衣を着せられなくて。

もう先日で、122回目の処置をしたしね。
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お父さんのドライカレー

「今日ですね、カールったらテーブルの上の子供のドライカレーをペロって舐めたんですよ!」

マダムSがパピヨンのカール君を連れてワクチンにお出でになりました。カール君は3歳で元気盛りの男の子です。

愛想が良くてみんなに尻尾を振り、しかし注射の時はちょっぴり緊張して、診察台でピッタリ静止したままです。

そのワクチンの後で、マダムが教えてくれたのです。

「それがですね、ちょうどそこに主人が居て、見てたんです。

『あっ! カールが彰のドライカレーを舐めたぞ!』

って、叫んだんですが、もう遅かったんです。

『おい、舐めたぞ、舐めちゃった。どうする?』

『えーっ! どうしましょう。子供の分も、みんな一皿ずつしか作ってないのよ。』

『むむ、・・・仕方ないなあ、俺がそばで見ていながら、防げなかったから俺の性だ。それじゃあ、俺のドライカレーを、彰にやってくれ。

その代わり、白ごはんでいいけど、何かおかずあるか? かけるだけでもいいぞ・・・・』

ってですね。うふふふふ・・・」

知らんふりして、子供に舐められたドライカレー食べさせるでもなく、もったいないからお父さんのと交換するのでもなく、ちゃんと廃棄処分するところが、可笑しいですね。

私なら、大好きなドライカレーを食べ損ねたら、三年ぐらい犬のことを恨むかもしれませんが、こちらのお父さんはさて、どうでしょうか?

まあ、今後は、食卓に厳重な警備が敷かれるようになることでしょう。

カール君、舐めるだけじゃなくて、いっそのことガブリとやれば良かったね。

あ! 玉ねぎが入っているから、駄目か!!
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タワシエレジー

(・・・おや、これは何の毛だろう?)

猫舎で入院ケージを掃除していた時です。
ステンレスのスノコの下に、短い茶色の毛が、パラパラと十本前後落ちています。

(おかしいなあ、ここはスタッフが掃除して、消毒薬もスプレーしていたはずだけど・・・)

私は首をかしげながらそこを覗き込みました。スノコをめくって、毛をよく観察します。

(えらく太いなあ・・・、毛じゃないみたい。長さがみんな揃って、硬くて・・・、あっ! なんだ、これはタワシの毛が抜けたやつじゃないか。)

使い古してくたびれたタワシが、どうやらぽろぽろ毛が抜けだしたようです。それが、落ちていたんです。

(タワシ、よく頑張ったなあ。毛が抜けてきて、お互いみすぼらしくなったが、いいさ。よく働いたんだからな。)

流しのタワシにそう語りかけた次の日でした。

私が診察室で綿棒を作っていると、ぺ子がそばを通り過ぎながら、マル子に言いました。

「あのさ、猫舎のタワシ、もう毛が抜けだしたから、捨てるね。」

「あっ、そうですね、もう駄目でしょうね。」

捨てられていくタワシを、目で追う私。

後にはスタッフの明るい笑い声だけが診察室に響いていました。
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