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聖ノア通信 - 当病院の日々の出来事、ペットにまつわる色々な話をつづります -

好きなもので身を滅ぼす・・・

「また皮膚が悪くなったので、お預けしますから、治療をお願いします。」

シーズのリリーちゃんを抱いてマダムKがおいでになりました。リリーちゃんは、アトピーとアレルギーがあり、昨年もしばらく入院したことがあります。

「おやおや、胸や脇がべとべとになって、リンパが滲み出てますか?いかにも痒そうで、真っ赤ですね。」

鼠蹊部も発疹が見られます。家では食事療法も緩やかになりがちなので、確かに入院したほうが良さそうです。

「それではしばらくお預かりしますね。」

「しっかり何でもお願いします。じゃあ、りりーちゃん、がんばってね。」

「待ってよ! 置いてかないでよ!ワンワン!」

しかし無情にもマダムは立ち去ります。いえいえ、顔で笑って背中で泣いて、マダムは心を鬼にして立ち去るのです。それがしかしリリーちゃんには、伝わるはずもないのでした。

次の日から、厳しい食事療法が始まります。

「はい、美味しいよ!リリーちゃん、食べられるのは、これだけだよ。十分経って食べないと、片づけるよ。あとで、インターフェロンの注射をするからね。お昼には免疫調整剤を飲もうね。」

「・・・・・・・」

口をぐいと噛み締めて、スタッフの甘い誘いにも乗らず、院長の迫力不足の脅しにも屈せず、リリーちゃんは一日目は何も食べません。

「今日はどうかな?お腹空いたろ? 美味しいよ、食べなよ!」

まだまだ食べないだろう・・・と予想していたのですが、二日目は割と素直に治療食に口をつけました。

「うん、これなら、行けるかな・・・」

べたべたの皮膚から糸状菌のアルテリナリアも検出されたので、薬を塗っていると、急速にカサカサに乾いてきました。同時に赤みも引いてゆきます。

まあまあ、順調か!と思われたのですが、その後、また療法食を素直に食べなくなります。時々食べるけど、毎日は食べない。思ったより、根性がある奴でした。

深夜見回りの時、リリーの前に座って話しかけます。

「あのね、とりあえずこれで皮膚を治さないと、帰れないよ。好きなもんばっかり食べていたら、体壊すよ!私の爺さんも好きな酒ばっかり飲んでたから、肝硬変になったし、知り合いのおじさんは、なんでもすぐ醤油をかけるから血圧高いし、

そうそう、うちの奥さんも、甘いものが好きだから、しょっちゅう顔にブツブツが出来たとか、つぶやいてるよ。うん、だいたい人間は好きなもんで身を滅ぼすんだよね・・・。」

ケージの中のリリーちゃん相手に人生訓を垂れても仕方ありません。

ただ、話し相手のいない院長の聞き手に、なってもらっているだけでした。


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